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中納言殿まゐらせ給ひて

(原文) 中納言殿まゐらせ給ひて、御扇奉らせ給ふに、「隆家こそいみじき骨をえて侍れ。それをはらせて參らせんとするを、おぼろけの紙ははるまじければ、もとめ侍るなり」と申し給ふ。「いかやうなるにかある」と問ひ聞えさせ給へば、「すべていみじく侍る。さらにまだ見ぬ骨のさまなりとなん人々申す。まことにかばかりのは侍らざりつ」とことたかく申し給へば、「さて扇のにはあらで海月のなり」と聞ゆれば、「これは隆家がことにしてん」とて笑ひ給ふ。かやうの事こそ、かたはらいたき物のうちに入れつべけれど、人ごと「な落しそ」と侍ればいかがはせん。